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ねむれない夜は家を抜け出して近くの神社とかお墓がある小さい山、公民館の裏なんかに行く、1人だったり2人だったり、そんな癖がついてしまってから四捨五入すれば10年ぐらい経ってしまった、発電式懐中電灯の不安定な明かりはiPhoneの無機質な光に変わってしまった、今晩も街灯や月の光が当たらない場所を探してふらふらしている、田舎なのでもともと街灯の数は少ないけれど人工的な光はクラスメイトにみえてこわい、だから逃げる、昔と比べれば随分口は達者になってへらへら笑えるようになったけれど自分はまだ強くなりきれてないのかもしれない、凝視していたら月は慌てて隠れてしまった、小さい頃おばあちゃんの家で棚から落として割ってしまったオルゴールの中身みたいな星空、空気が肺に張り付く季節は特に小さい頃の記憶が鮮明になる、息は白くなって町に溶け込む、明日は国語のテスト、漢字にすごく弱いので小学校低学年の頃から毎週のように再テストで居残りしていた、お母さんにバレると怒られるからプリントはいつも紙飛行機にして神社の雑木林の中に飛ばすか小学校の裏庭の壊れた百葉箱の中とか給食室裏の大きいゴミ箱に捨てていた、冬は帰り道に雪の中に埋めたり、2時はおばけが起きる時間、トイレに行けなくなる前にそろそろ帰ろうかな、